陥没乳頭は乳頭が乳輪の中に埋まるように隠れているような状態を指します。軽症なものであれば乳頭を刺激するだけで乳輪よりも高くなり、外見的にも症状は改善します。
しかし、それでは乳頭が露出しない重症なケースであれば手術療法など病院にかかって治療を受けることになります。
陥没乳頭の治療に保険の適応はあるのか、また保険適応とするための条件にはどのようなものがあるのでしょうか。
実際の治療だけでなく術前診察、検査などの場面でかかる医療費についても、陥没乳頭に悩んでいる方の参考になるよう出来るだけ詳しく紹介します。

そもそも陥没乳頭でどうして困ってしまうのか

そもそも、どうして陥没乳頭になってしまうのでしょうか。原因は先天的なものと後天的なものに大別されます。先天的なものであれば乳管という母乳を作る組織が短いために乳房の中に埋まってしまう、という場合が多いです。後天的なものには乳腺炎などの疾患のために引き攣れのようなものが乳房の中に出来てしまい、乳房の中に乳頭を引き込もうとするために起こるケースがあります。

陥没乳頭は乳頭が乳輪の中に埋まっているような状態を指しますが、まずこの形状をコンプレックスに思ってしまう方が少なからずいらっしゃいます。陥没乳頭を恥ずかしく思って温泉などに気軽に行けない、という悩みがあるなど整容面での問題が特に重いとされます。

他にも授乳期の女性であれば、乳頭が出てこないことで授乳に差し支えるケースがあります。赤ちゃんが上手くお母さんの乳頭を探し当てられないと、乳管の開口部が集まっている、つまり母乳分泌の効率が最もいい乳頭からの摂取が出来ないので、必然的に人口母乳などでの栄養を検討することになります。

陥没乳頭の患者さんの中には、自分の母乳で赤ちゃんを育てたいという願望があって手術療法を選択する方も少なくありません。

40歳頃までなら初診から手術まで様々な診療に保険は有効

前述のとおり、陥没乳頭は整容面の問題だけでなく授乳に関する機能的な問題を引き起こすことになります。日本の国民健康保険システムは美容整形などの整容面を整える治療に関しては適応にならず、自由診療となることが一般的ですが、機能的なトラブルが起こっている場合は適応になるケースが多いです。

つまり、授乳をする可能性がある年代に対しては陥没乳頭治療が保険適応で行える可能性がある、ということなのです。そのひとつの目安が40歳前後であると言われていますが、それ以上の年配の方であれば自由診療扱いとなって全額私費で支払うことになりそうです。つまり、保険適応の条件はその目安となる年齢よりも若いことであると言えるでしょう。

陥没乳頭の手術療法には最初に乳頭の状態を把握するために診察、検査を行います。特に、陥没乳頭となっている背景には乳腺の炎症や乳癌などが潜んでいる可能性があり、原因の検索のためにマンモグラフィーなどの検査は欠かせません。その後、日を改めて手術を行いますが、日帰り手術は多いものの患者さんの状態によっては入院となる可能性があります。これら一連の治療の流れについて、国民健康保険が適応になる可能性があるのです。

放っておくと怖い陥没乳頭

陥没乳頭のために医療機関にかかるのが望ましい、と分かっていたとしても医師とは言え、コンプレックスに思っている乳頭を見せるという行為に抵抗感があるかもしれません。受診に二の足を踏むのも仕方のないことであると言えますが、それでも積極的に医師の診察を受けたほうがいい理由があります。それは陥没乳頭を放っておくと、別の疾患の引き金になる可能性があるためです。

陥没乳頭に限らず人体のへこみに汚れがたまると、細菌が繁殖することがあります。陥没乳頭ではそのために起こる症状が表面の炎症だけで終わった場合に乳頭や乳輪が赤くなってヒリヒリと痛くて痒い、という症状だけで終わりますが、ひどくなると乳房の中にまで影響が及びます。乳頭に開口している乳管を通って、乳房の深部まで炎症が波及すると、乳腺炎という状態に進行してしまいます。

乳房の痛みを訴えるだけではなく、乳腺組織が炎症の経過によって破壊される場合に将来的に母乳を産生出来なくなったり、母乳が上手く出ず滞留してしまうなどの異常を来たす可能性があります。保険適応の条件に合致する年代であれば尚更、そうでなくても積極的に医療機関を受診するべきなのです。

まとめ

陥没乳頭はそれ自体が命を危険にさらす疾患ではありませんし、日常生活でとんでもなく困る場面はそうは無いでしょう。しかし、整容的に好ましく思わない方も少なくはありませんし、授乳などの場面では困ってしまうこともあります。

保険適応の条件さえ満たせば安価に治療を受けることが出来、乳腺疾患について総合的な精査を受けることが出来た上で手術を受け、症状の改善を見込めるのです。

診察とはいえ乳房をさらすのは抵抗感がある、という気持ちにも配慮した治療を乳腺外科の先生は行ってくれるはずですので、専門の医療機関にまず相談してみることが先決です。